ライフライン料金の猶予制度
新型コロナウイルスの影響により、ライフライン料金(水道代、電気代、ガス代)の支払いについても、各種の猶予制度が設けられています。 本稿では、ライフライン料金の支払猶予制度について整理をいたします。
1 水道料金
水道料金については、一部の地方公共団体が水道基本料金を半額としたり、無料化する等の独自の措置が取られていますが、各地方公共団体によって対応が異なります。
例えば、神戸市においては、現時点で減免や猶予の措置について公式の発表はありませんが、「上下水道料金の支払い猶予」とのページにおいて、「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入が大幅に減少した等の事情により、水道料金・下水道使用料(農業集落排水を含む)のお支払いが困難な方は、ご相談により支払を猶予します」「猶予期間については個別にご相談します」としています。
神戸市ホームページ
https://www.city.kobe.lg.jp/a73576/kenko/health/infection/protection/corona/corona_jougesuido.html
もっとも、緊急事態宣言の延長により、今後各地方自治体における対応にも変更がある可能性があります。定期的に各地方公共団体のホームページ等のご確認をお願いいたします。
2 電気・ガス料金
(1) 関西電力
関西電力においては、令和2年3月19日、休業および失業等により一時的に公共料金の支払いが困難となる契約者について、猶予措置の申込みがあった場合には、同年3月分、4月分および5月分の電気料金またはガス料金の支払期日を原則として1ヶ月間延長する対応を取っていましたが、同年4月24日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、その適用対象及び特別措置の内容が拡大されました。
特別措置の内容
2020年3月分および4月分の電気料金またはガス料金の支払期日を原則として2ヶ月間延長し、5月分の電気料金またはガス料金の支払期日を原則として1ヶ月間延長いたします。
ただし、支払期日の延長は、支払義務発生日が2020年3月19日以降となるものに限ります。
(参考:3月19日発表時の特別措置)
2020年3月分、4月分および5月分の電気料金またはガス料金の支払期日を原則として1ヶ月間延長いたします。 ただし、支払期日の延長は、支払義務発生日が2020年3月19日以降となるものに限ります。
適用対象
新型コロナウイルス感染症の影響による休業および失業等で、各都道府県社会福祉協議会から緊急貸付を受けているまたは受けようとされており、かつ、一時的に電気料金またはガス料金の支払いが困難な事情があって、当社に特別措置適用の申出をされたお客さま
(参考:3月19日発表時の適用対象)
新型コロナウイルス感染症の影響による休業および失業等で、各都道府県社会福祉協議会から緊急貸付を受けており、かつ、一時的に電気料金またはガス料金の支払いが困難な事情があって、当社に特別措置適用の申出をされたお客さま
(2) 大阪ガス
また、大阪ガスにおいても、同年4月24日付で、同年3月19日に行った特別措置の拡大について、以下の発表をしています。
特別措置の内容
- 2020年2月(支払期日が2020年3月25日以降のもので、支払期限日が到来していないものに限る)、3月、4月検針分のガス料金及び電気料金について、支払期限日の2ヶ月間延期(従来は1か月間の延期)
- 2020年5月検針分のガス料金及び電気料金について、支払期限日の1ヶ月間延期
適用対象
1ないし3の要件を満たす契約者
- 大阪ガスと電力又はガスの供給契約を締結していること
- 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により生活福祉資金貸付制度の貸付けがなされていること、又は、型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う休業・失業等により一時的にガス料金又は電気料金の支払いが困難であると大阪ガスが判断する場合
- 大阪ガスに特別措置適用の申出があること
※3月19日の発表を受けて、既に支払期限日の1か月間の延長を申し込んだ場合、延長期間を2か月間に変更する場合は、再度の申出が必要
両社の措置は、当初2020年3月19日に特別措置の内容が発表され、同年4月24日にその猶予措置が拡大されている点で共通していますが、適用対象に違いがある(例えば、関西電力は、現に社会福祉協議会から貸付けを受けていることを必須としていません。)ことや、既に特別措置を受けた契約者が再度猶予の手続を行う必要があるか否か(関西電力は「既に特別措置の適用を受けている場合、再度のお申込みは必要ございません。」としているのに対し、大阪ガスでは「3月19日の発表を受けて既に支払期限日の1か月延長を申し込まれたお客様が、延長期間を2か月間に変更される場合は、改めてお申し出いただく必要があります。」とされています。)において違いがあります。
また、関西電力及び大阪ガスの発表は、4月21日時点のものですが、緊急事態宣言の延長により、6月以降検針分のガス・電気代についても、猶予制度が拡大する可能性もあります。そのため、こちらの情報についても定期的にホームページのご確認いただければと思います。
(参考)
関西電力ニュースリリース
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0424_1j.html
大阪ガスニュースリリース
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2020/1286742_43661.html
(弁護士 中馬康貴)